NorthStar と Astroscale は、パリで開催されている国際宇宙会議で、宇宙の持続可能性を推し進めるために、戦略的パートナーシップを結ぶことを発表します。
NorthStar Earth&Space Inc.からのこの発表は、2022年09月20日にリリースされました
アストロスケールとNorthStar、
スペースサステナビリティに貢献するための宇宙技術の開発に向けて提携
商用軌道上サービスの提供に向け、次世代の宇宙状況把握航法と追跡機能を前進
持続可能な宇宙環境を目指し、スペースデブリ(宇宙ごみ、以下、デブリ)除去を含む軌道上サービスに取り組む株式会社アストロスケールホールディングス(本社:東京都墨田区、創業者兼CEO 岡田 光信、以下「アストロスケール」)は、カナダのNorthStar Earth & Space社(以下、「NorthStar」)との戦略的パートナーシップを締結したことを発表いたします。これは、NorthStar独自の宇宙ベースの精密な物体追跡サービスと、アストロスケールの軌道上サービスにおける航法および捕獲機能を組み合わせることで、宇宙の持続可能性(スペースサステナビリティ)に貢献するものです。
本合意において、両社はそれぞれのノウハウ、専門知識、独自のサービスを活用し、スペースサステナビリティの実現という共通の目標に向けて取り組みます。とくに、両社は地球低軌道(LEO)での信頼性の高い軌道上サービスのために、正確な宇宙状況把握 (ISSA*1) サービスを組み合わせることの利点を示していきます。また、SSAデータサービスの改善と将来のミッションのリスク軽減を目的として、軌道上サービスを提供する宇宙機へ搭載できる新しいISSAペイロードの研究および開発において緊密に協力していきます。
2023年、NorthStarは、すべての近地球軌道域を同時に監視し、より広い範囲での宇宙物体の正確な検知と追跡を可能とする初の商用ISSAサービスを打ち上げる予定です。同社のスペースインフォメーション&インテリジェンス(Si2)サービスは、すべての衛星運用者にとって、宇宙船をより適切に管理し、宇宙飛行の安全性を高め、そしてスペースサステナビリティを確保するのに役立ちます。
アストロスケールは、衛星運用終了時のデブリ化防止のための除去サービスとしてEOL*2サービスを前進させており、2021年から2022年にかけて、デブリ除去に係る一連のコア技術を実証する世界初の商業ミッションとして、デブリ除去技術実証衛星「ELSA-d(エルサ・ディー、End-of-Life Services by Astroscale – demonstrationの略)」による模擬デブリの再捕獲、絶対航法の技術(GPSと地上観測)を活用したサービサーの誘導航法、および絶対航法から相対航法への切替えなどに成功しました。また、OneWebや英国宇宙庁、欧州宇宙機関と協力し、軌道上ミッションで役目を終えた複数の人工衛星を除去する衛星「ELSA-M(エルサ・エム、End-of-Life Services by Astroscale – Multi clientの略)」を2024 年の打上げに向けて開発しています。NorthStarとの提携により、軌道上の物体に関する重要な宇宙安全情報の提供や、捕獲対象となる宇宙船の追跡・捕獲をサポートするために必要なISSAサービスを前進させます。そして、アストロスケールは将来の同社ミッションにおいて、軌道上SSAサービス提供社としてNorthStarとの提携を視野に入れています。
NorthStarの共同創設者兼CEOであるスチュワート・ベイン氏は、以下のように述べています。
「スペースサステナビリティのためのイノベーションと商用サービスの推進に取り組んでいる重要なコミュニティの一部として、アストロスケールと協力できることを誇りに思います。NorthStar の正確な宇宙ベースの全軌道 SSA カバレッジと、アストロスケールの軌道上サービス機能を組み合わせることは、軌道における喫緊の課題に対する非常に強力な対応となります。」
アストロスケール英国社長のニック・シェーブは、以下のように述べています。
「宇宙状況把握の技術開発にかかるNorthStarとのパートナーシップを発表できることを嬉しく思います。同社のスペースインフォメーション&インテリジェンスサービスにより、私たちは衛星の航法および追跡機能を強化することができると考えています。当社は地上局と軌道上データの両方の恩恵を受けながら、 RPO*3(ランデブ・近傍運用)や捕獲の知見を活かし、引き続き商用の軌道上デブリ除去サービスを推進していく所存です。そして、この素晴らしいパートナーシップを、将来の世代のために宇宙を掃除して軌道環境を守るというELSA-Mのミッションに活かすことができるのを楽しみにしています。」
NorthStarについて
NorthStar は、宇宙ベースのセンサーを使用した独自の宇宙と地球の情報およびインテリジェンスプラットフォームを通じて、地球を保護するために人類に力を与えることを目指しています。 NorthStar は、政府、業界、および機関が地球および宇宙環境の持続可能な開発を促進するためにリスクを評価し、規制を実施し、意思決定を行う方法の変革を支援しています。
NorthStar 独自の宇宙ベースの商用宇宙状況認識サービスは、すべての衛星オペレーターが直面する重要かつ差し迫った課題の多くに対処します。 NorthStarは、あらゆる軌道のすべての物体を観測するよう努めており、現在の他のどのシステムよりも頻繁かつ正確に宇宙にある物体を観測します。 NorthStar は、その比類のないカバレッジ、オブジェクト管理、および強化された予測分析から得られる一連の高速意思決定品質情報サービスを通じて、宇宙情報およびインテリジェンス サービスを生成します。
NorthStar の投資家は、Telesystem Space (Sirois ファミリー オフィス、Telesystem およびカナダの Roger’s Family Trust の共同企業体)、Space Alliance (Thales Alenia Space と Telespazio)、ケベック州政府、 カナダ政府とルクセンブルク未来基金といった戦略的パートナーのグローバル連合で構成されています。 NorthStar Earth & Space の本社はカナダのモントリオールにあり、米国子会社の NorthStar Earth & Space Systems, Inc. はバージニア州マクリーンに本社があり、欧州子会社の NorthStar Earth & Space Europe S.à r.l. は ルクセンブルクに本社があります。
https://northstar-data.com/ja/
アストロスケール について
アストロスケールは、宇宙機の安全航行の確保を目指し、次世代へ持続可能な軌道を継承する為、全軌道における軌道上サービスに専業で取り組む世界初の民間企業です。 2013年の創業以来、軌道上で増加し続けるデブリの低減・除去策として、衛星運用終了時のデブリ化防止のための除去(EOL)、既存デブリの除去(ADR*4)、故障機や物体の観測・点検(ISSA)、寿命延長(LEX*5)など軌道上サービスの実現を目指し技術開発を進めてきました。また、長期に渡り安全で持続可能な宇宙環境を目指す為、技術開発に加え、ビジネスモデルの確立、複数の民間企業や団体、行政機関と協働し、宇宙政策やベストプラクティスの策定に努めています。
本社・R&D 拠点の日本をはじめ、シンガポール、英国、米国、イスラエルとグローバルに事業を展開しています。
アストロスケール本社ウェブサイトはこちら:https://astroscale.com/ja/
※1 ISSA:In-Situ Space Situational Awarenessの略称
※2 EOL:End-of-Lifeの略称
※3 RPO:Rendezvous and Proximity Operations Technologiesの略称 、ランデブ・近傍運用
※4 ADR:Active Debris Removalの略称
※5 LEX:Life Extensionの略称
【本件に関するお問い合わせ先】
アストロスケール広報 伊藤 聡志